結婚をきっかけに住宅購入を考えているけれど、新築は予算的に厳しいという方は多くいます。スケルトンリフォームなら、中古物件を自分たちのライフスタイルに合わせて間取りから一新することが可能です。
この記事では、スケルトンリフォームのメリット・デメリットや費用、工事の流れについて詳しく解説します。記事を読めば、スケルトンリフォームに関する疑問が解消され、具体的なステップがわかります。記事を参考に理想の住まいを手に入れるための計画を進めましょう。
スケルトンリフォームのメリット

スケルトンリフォームのメリットは以下のとおりです。
- 自由に間取りが変更できる
- 配管・配線・断熱材などを見直せる
- 資産価値が上がる
自由に間取りが変更できる
スケルトンリフォームは、中古物件でも間取りを自由に変更できる点が大きな魅力です。壁を取り払って一から部屋を作り直すため、自分たちの暮らしに合った住まいを実現できます。スケルトンリフォームをすれば、子どもの成長に合わせて部屋数を調整することも可能です。
趣味を楽しむ部屋や書斎、収納スペースなどを追加できることもスケルトンリフォームを行うメリットです。
配管・配線・断熱材などを見直せる

スケルトンリフォームでは、普段は見えない配管や配線、断熱材などの住宅インフラも一新できます。古くなった給排水管やガス管を交換すれば、将来的な水漏れや詰まりのリスクを未然に防げます。電気配線を新しくしてコンセントの数や配置の自由な変更も可能です。
壁や床、天井に新しい断熱材を入れることで断熱性能が上がり、光熱費の節約にも役立ちます。スケルトンリフォームの際に壁の中や床下の状態を確認し、シロアリの被害や骨組みに腐食があれば修理しておくと安全です。部屋の結露やカビの発生を抑えるために、換気設備を見直すことも大切です。
資産価値が上がる
スケルトンリフォームを行えば建物が内側から改善されるため、物件の資産価値を高められます。中古物件を最新の設備やおしゃれな内装に変更することで、購入時より高い値段で売れる場合があります。水道管や電気配線などの見えない部分も新しくして、建物の寿命を延ばすことも資産価値を上げるポイントです。
断熱性の強化や省エネ設備を導入して建物の性能を上げると、評価額の上昇につながることもあります。
» マンションの資産価値を決める要因を解説
スケルトンリフォームのデメリット

スケルトンリフォームのデメリットは以下のとおりです。
- 費用が高い
- 工事期間が長い
費用が高い
スケルトンリフォームは、家の中を空にして新しく作り直す大掛かりなリフォームのため、費用が高くなる傾向にあります。リフォーム費用だけでなく、壁や床、キッチン、風呂などを交換するための材料費や工事費も必要です。デザイン性や材質にこだわる方は、設計費などの追加料金もかかります。
スケルトンリフォームを進める中で、家の骨組みなどに重大な欠陥が見つかった場合も追加費用が必要です。リフォームの規模が大きくなるほど、現場での管理費や人件費も増えていきます。
工事期間が長い
スケルトンリフォームは、他のリフォームに比べて工事期間が長くなる傾向にあります。建物の骨組みだけを残して内装や設備をほぼ一から作り直すため、時間がかかってしまうからです。スケルトンリフォームの工事期間は一般的に約2〜4か月です。
建物の大きさやリフォーム内容によって、当初の想定より長くかかるケースも珍しくありません。工事の途中で建物の骨組みに異常が見つかれば、工事期間はより長くなります。間取りを大幅に変えたい場合や、デザインにこだわる場合も、さらに多くの工事時間が必要です。
スケルトンリフォームを行う際は、完成までに時間がかかることを理解し、余裕を持った計画を立ててください。
スケルトンリフォームが難しくなるケース

スケルトンリフォームが難しくなるケースは以下のとおりです。
- 建物に構造的な制約がある
- マンションの管理規約による制限がある
建物に構造的な制約がある
購入した建物に構造的な制約があると、自分の理想どおりにスケルトンリフォームを行えない場合があります。耐力壁と呼ばれる壁や建物を支える柱や梁は、撤去したり移動したりできないからです。建築基準法による制限や建物の基礎部分の状況によっても、スケルトンリフォームの自由度は左右されます。
しかし、建物に構造的な制約があっても、スケルトンリフォームを行うことは可能です。専門の構造設計士に調査を依頼し、建物の構造を正確に伝えたうえで、要望に沿ったプランを提案してもらいましょう。構造的な制約がある場合のスケルトンリフォームは、通常のリフォームと比べて費用が高くなるため注意が必要です。
マンションの管理規約による制限がある
マンションでスケルトンリフォームを行う場合は、管理規約によってできることに制限があります。マンションは共同住宅であるため、さまざまなルールが定められています。窓や玄関ドアの外側、バルコニーなどの共用部分は基本的に変更できません。
スケルトンリフォームで床材を変更する際は、遮音性能の高いものを選ぶよう規定されている場合があります。電気のアンペア数を上げたり、ガスの容量を増やしたりすることもできません。キッチンや浴室、トイレなどの水回り設備の位置を大幅に変更することが難しいケースもあります。
リフォーム工事ができる曜日や時間帯が決められている場合があるため、事前の確認が必要です。資材の搬入経路や工事で発生した廃材の搬出方法についても、管理規約で細かく定められている場合があります。
スケルトンリフォームの流れ

スケルトンリフォームの流れは以下のとおりです。
- 施工会社を選ぶ
- プランニングと設計・デザインを決める
- 間取りと動線を決める
施工会社を選ぶ
スケルトンリフォームで理想の住まいを手に入れるには、信頼できる施工会社を選んで納得のいく契約を結ぶことが大切です。施工会社によって得意なデザインや工事の品質、費用が大きく異なるため、慎重に比較検討しましょう。施工会社を選ぶ際は、会社のホームページやリフォーム専門の口コミサイトなどが参考になります。
気になる施工会社に資料請求をして、オンライン相談を申し込みましょう。担当者と面談し、理想の住まいや予算、物件の状況を伝えたら現地調査を依頼します。最初から1社に限定するのではなく、複数の施工会社から見積もりを取って比較しましょう。
施工会社が決まって契約の段階になったら、契約書の内容を十分に確認します。確認が必要な契約書の項目は以下のとおりです。
- 施工範囲
- 金額
- 支払い条件
- 保証内容
- 工事期間
- トラブルが起きた場合の対応
クーリングオフ制度についての記載の有無や、工事が遅れた場合の取り決めについても確認が必要です。
プランニングと設計・デザインを決める

スケルトンリフォームのプランニングと設計・デザインを決定する際は、設計士に理想の住まいを的確に伝えることが大切です。家族でどんな暮らしをしたいか、どんな家が理想かを設計士に伝えましょう。現在の暮らしだけでなく家族の将来も考えて計画すれば、長く快適に住める家づくりができます。
毎日過ごす家だからこそ、デザインや使い勝手にもこだわりましょう。デザインコンセプトに合わせて素材を選ぶことで、統一感のあるおしゃれな空間が作れます。
間取りと動線を決める
スケルトンリフォームの際に間取りや動線で失敗しないためには、将来の家族構成の変化を考慮する必要があります。現在だけでなく将来の生活を見据えて間取りや動線を決めることで、リフォーム後の後悔を防げます。
間取りと動線を決める際は、家族と時間をかけて話し合いましょう。スムーズに家事ができる動線づくりや、十分な収納スペースを確保することも忘れないでください。
スケルトンリフォームにかかる費用

スケルトンリフォームにかかる費用について、以下の内容に分けて解説します。
- 戸建てとマンションのリフォーム費用の比較
- 見積もりの取り方と注意点
戸建てとマンションのリフォーム費用の比較
戸建てとマンションのスケルトンリフォームの費用を比べると、マンションの方が費用を抑えられる傾向にあります。マンションのスケルトンリフォームは、窓のサッシや玄関のドアなどの共用部分は基本的に変更できません。
しかし、戸建ては部屋の内装や外壁、屋根、耐震補強など、マンションより施工範囲が広いためリフォーム費用が増えます。築年数が古い戸建てだと、建物の土台や骨組みの修理や補強によって予想外の費用が発生する場合もあります。駐車場や庭などをリフォームする際も、追加費用がかかるため注意が必要です。
見積もりの取り方と注意点
スケルトンリフォームにかかる費用を安く抑えるためには、見積もりの取り方に注意が必要です。施工会社を選ぶ際は、1社だけでなく複数の会社から見積もりを取ってください。最低でも3社以上から見積もりをもらうことで、提案内容や費用感、得意な工事などを比較検討できます。
正確な見積もりを出してもらうには、施工会社に必ず現地調査を依頼しましょう。壁や柱の状態や水回りの配管の劣化具合などは、実際に見て確認しないとわからないからです。現地調査を省略すると、リフォーム中に追加費用が発生する原因にもなります。
施工会社から見積書を受け取ったら、以下の項目を細かく確認してください。
- 工事費
- 設計費
- 諸経費
見積書の中に不要な費用が含まれていないかや、必要な項目が漏れていないかを確認します。追加費用が発生する可能性がある場合は、条件なども事前に確認しておきましょう。見積書の内容に不明点や疑問点があれば、遠慮せず施工会社に質問してください。
スケルトンリフォームに関するよくある質問

スケルトンリフォームに関するよくある質問は以下のとおりです。
- スケルトンリフォームの施工範囲は?
- スケルトンリフォームと建て替えの判断基準は?
- スケルトンリフォームで利用できる減税制度は?
スケルトンリフォームの施工範囲は?
スケルトンリフォームの施工範囲は、家の骨組み以外のすべてが対象です。建物の基礎や柱、梁などはスケルトンリフォームの施工範囲に入りません。スケルトンリフォームの施工範囲は以下のとおりです。
- 壁
- 床
- 天井
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 洗面台
- 給排水管
- ガス管
- 電気配線
- 情報配線
- 換気設備
- 断熱材
マンションをスケルトンリフォームする場合は、管理規約によって施工範囲が異なるため注意してください。
スケルトンリフォームと建て替えの判断基準は?

スケルトンリフォームと建て替えの判断基準は場合によって異なります。費用や建物の状態、法的な制限、工事期間などを総合的に考えて適切に判断してください。家の土台や柱の劣化が激しい場合は、スケルトンリフォームより建て替えを選ぶことをおすすめします。
法規制により建て替えができない土地では、スケルトンリフォームが唯一の選択肢です。スケルトンリフォームをする際は初期費用だけでなく、将来的なメンテナンス費用も考慮しましょう。スケルトンリフォームと建て替えのメリットとデメリットを理解し、状況に合わせた最適な選択をしてください。
スケルトンリフォームで利用できる減税制度は?
スケルトンリフォームで利用できる減税制度はいくつかあります。スケルトンリフォームで利用できる主な減税制度は以下のとおりです。
- 住宅ローン減税
- リフォーム促進税制
- 固定資産税の減額措置
- 贈与税の非課税措置
- 登録免許税の軽減措置
住宅ローン減税とは、住宅ローンを組んでリフォームした場合に所得税や住民税の一部が免除される制度です。リフォーム促進税制を利用すると、耐震工事や省エネ工事を行った際に所得税が安くなります。耐震工事や省エネ工事をすると、翌年の固定資産税が減額される場合もあります。
贈与税の非課税措置とは、両親や祖父母からリフォーム費用を援助された場合に一定額の贈与税がかからなくなる制度です。中古物件の購入と同時に特例のリフォームをすれば、登録免許税の軽減措置によって登録免許税が安くなります。
国や自治体の制度をうまく活用して、スケルトンリフォームにかかる費用を最低限に抑えましょう。
まとめ

新築の価格高騰が進む現代において、中古物件を購入してスケルトンリフォームを行うことは魅力的な選択肢の一つです。スケルトンリフォームを行うことで、間取りの自由な変更や配管や配線の取り替えができます。物件の資産価値の維持や向上につながることも、スケルトンリフォームを行うメリットです。
スケルトンリフォームを行うデメリットは、施工費用が高い点や工事期間が長くなる点が挙げられます。建物の構造やマンションの管理規約によっては、希望通りにリフォームできない場合があることも理解しておきましょう。国や自治体の減税制度を活用すれば、リフォーム費用を最小限に抑えられます。
スケルトンリフォームについてよく理解し、家族が長く快適に生活できる理想の住まいを実現させてください。
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