マンションの購入を検討しているものの、買い時がわからず悩んでいませんか?数千万円の買い物であるマンションは、購入のタイミングを誤るとローン返済や住み替えなどの負担を抱える可能性があります。この記事ではライフステージや経済状況などの観点から、マンションを買ってはいけない時期を解説します。
記事を読めば適切な購入のタイミングがわかり、後悔のない選択が可能です。マンション購入に適したタイミングは、ライフスタイルと経済状況が安定している時期です。マンションの購入を検討する際は、焦らずに自分のニーズと市場環境をしっかり見極めましょう。
【ライフステージ別】マンションを買ってはいけない時期

マンションを買ってはいけない時期を以下のライフステージ別に解説します。
- 家族構成が決まっていない時期
- 定年退職を迎えたばかりの時期
- 転職や転勤が多い時期
家族構成が決まっていない時期
将来の家族計画が不確定な状態でのマンションの購入は避けるべきです。子どもの誕生によって部屋のスペースが手狭になったり、子どもの成長に伴って個室が必要になったりする可能性があるためです。生活スタイルの変化に対応できなくなると、家族全員が住みにくさを感じてしまいます。
家族の増加に伴い、マンションから引っ越しを検討する人もいますが、手間と費用を考えると簡単ではありません。住宅ローンの残債があるまま住み替えると、売却時の損失や引っ越し費用など、経済的な負担が大きくなります。
定年退職を迎えたばかりの時期

定年退職後は収入が大きく減少し、年金生活への移行期間で経済的に不安定になりやすい時期です。退職金が手に入るとマンションを購入したくなる人もいますが、老後の生活設計を考えると貯蓄を減らす判断は慎重になるべきです。
年金収入では住宅ローンの支払いが困難になりやすいため、医療費や介護費用などの将来の支出にも備える必要があります。マンションを所有すると、ローンだけでなく管理費や修繕積立金、固定資産税などの固定費が継続的に発生します。
高齢期には、身体機能の変化に合わせた住環境が必要になる点を考えると、マンションの購入は避けるべきです。定年退職後は、将来の変化に対応できる資金を確保しておきましょう。
転職や転勤が多い時期
安定した住環境を築くにはキャリアの安定が不可欠です。転職や転勤が頻繁にある状態でのマンションの購入はリスクを伴います。転職の時期にマンションを買ってはいけない理由は、以下のとおりです。
- 転職によって収入が一時的に不安定になるため
- 転職直後は雇用の継続性が証明しにくいため
- 住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があるため
審査に通っても、新しい職場の収入が低いとローン返済が生活を圧迫します。転勤がある仕事の場合、購入したマンションに住めなくなり、将来的に売却や賃貸などの対応が必要になることもあります。キャリアや勤務地がまだ不安定な時期は、マンションの購入を見送る方が賢明です。
新しい職場や生活に慣れるまで1〜2年ほど様子を見てからマンションの購入を判断しましょう。
【経済状況別】マンションを買ってはいけない時期

マンションの購入は経済状況に大きく影響されるため、以下の状況の場合は購入を避けるべきです。
- 経済的に余裕がない時期
- 住宅ローン金利が上昇している時期
- 景気の悪化が見込まれる時期
経済的に余裕がない時期
収入に対してマンションのローン返済額の負担が大きすぎると、日常生活が圧迫されてしまいます。年収に対する年間の住宅ローン返済額の割合が30%を超える場合は、マンション購入を見送るべきです。以下の点も、経済的余裕がない状態でのマンション購入が危険な理由です。
- 頭金が用意できず借入額が大きくなる
- 教育費や生活費が圧迫される
- 他のローンや債務との二重負担になる
- 急な病気や失業などの緊急時の備えが不足する
- 将来的な収入減少に対応できなくなる
子どもが増える可能性がある場合は、教育費などの将来の出費も考慮する必要があります。共働きを前提とした返済計画を立てていても、一方の収入が途絶えた場合に家計が破綻するリスクがあります。マンションの購入前には、最低でも半年分の生活費を貯蓄しておきましょう。
» 【年収別】マンション購入予算の目安と必要となる費用を解説!
住宅ローン金利が上昇している時期

金利の上昇は、マンションのローン返済総額を大幅に増加させ、長期にわたって家計に負担を与えます。日銀の金融引き締めにより住宅ローン金利が急上昇している局面では、マンション購入は慎重に判断すべきです。金利が前年比で0.5%以上上昇している状況では、同じ借入額でも月々の返済額が数千から数万円増えるケースがあります。
変動金利の初期条件が魅力的に見えても、将来的な金利の変動リスクを見越した冷静な判断が必要です。
景気の悪化が見込まれる時期
景気が低迷すると不動産市場も冷え込み、購入したマンションの資産価値が下落するリスクが高まります。以下の経済指標や社会的状況が見られる場合は、不動産市場への悪影響が懸念されます。
- 世界的な金融危機
- GDP成長率のマイナス
- 失業率の上昇
- 企業倒産の増加
- 株価の長期下落
景気が悪い時期にマンションを住宅ローンで購入すると、収入が減少した場合に返済負担が増し、家計が圧迫されてしまいます。政府の経済見通しが下方修正された直後や、消費者心理の指数が大幅に悪化している時期も、マンションの購入は避けるべきです。
将来的な収入の不安や物価上昇への懸念から購買意欲が低下し、不動産市場全体の需要が縮小する傾向があるためです。結果として購入直後に物件の資産価値が下がり、売却や住み替えが難しくなるおそれがあります。
【市場環境別】マンションを買ってはいけない時期

以下のような市場環境では、マンション購入は慎重に検討しましょう。
- 物件の供給が少ない時期
- マンションの価格が高騰している時期
- 住宅市場が不安定な時期
物件の供給が少ない時期
物件の供給が少ない時期にマンションを購入すると、価格面で不利になる可能性があります。供給が限られている市場では選択肢が少なくなり、相場よりも高い価格でマンションを購入せざるを得なくなるためです。不動産価格は需要と供給のバランスによって決まります。
建設資材の高騰や建設現場の人手不足、デベロッパーによる土地取得の停滞が重なる時期は、供給が制限され選択肢が限られます。物件供給が少ない時期は、供給の回復を待つか、中古物件の購入を含めた幅広い選択肢を持ちましょう。
マンションの価格が高騰している時期

マンションの価格が高騰している時期は、購入を控えた方が賢明です。価格が過熱している局面では、将来的に市場が落ち着いた際に資産価値が下がり、購入価格を下回るリスクがあるためです。以下の状況が重なっている場合は、価格の上昇が一時的なものである可能性が高いため注意しましょう。
- 新築マンションの供給の減少
- 投資目的による購入者の増加
- ローンが低金利
不動産価格指数が過去のバブル期に近い水準まで上昇している地域では注意が必要です。マンション購入は長期的な視点で行うべきであり、相場の動向を冷静に見極めたうえで判断しましょう。
» マンションの資産価値を決める要因を解説
住宅市場が不安定な時期
住宅市場が不安定な時期にマンションを購入すると、実際の価値以上の価格で物件を購入してしまうリスクがあります。住宅市場が不安定と判断される状況は、以下のとおりです。
- 不動産バブルの兆候がある時期
- 大規模災害の直後
- 税制改正・法律変更の目前
- 金融危機の後
- 大規模再開発の進行中
人口減少が急速に進んでいるエリアや空き家率が急増しているエリアは、将来的に物件の価値が下落しやすい傾向があります。住宅市場の安定性を見極めるためには、不動産価格の推移データや経済指標、地域の人口動態などの情報を集めることが重要です。
マンションを買った方が良い時期

マンションを買った方が良い時期は、以下のとおりです。
- ライフステージが安定した時期
- 経済的に余裕がある時期
- 好みの物件が見つかった時期
ライフステージが安定した時期
結婚を機に住まいの必要性を意識する20代後半から30代半ばの方にとって、マンションの購入は多くのメリットがあります。結婚する時期は家族計画が具体化し、長期的な住居計画が明確になるため、マンション購入の判断がしやすくなります。
将来的に子どもの誕生を視野に入れている場合は、必要な間取りや広さを見据えた選択が可能です。年収に見合った価格帯のマンションを選ぶことで、無理のないローンの返済計画を立てられます。住宅ローンを返済し続けると、最終的に物件が自分の資産となるため、将来的な資産形成につながります。
経済的に余裕がある時期

住宅ローンの返済が家計を圧迫せず、将来の支出にも柔軟に対応できる状態であれば、購入を前向きに検討しましょう。世帯年収に対する住宅ローンの年間返済額が25%以下で、月々の収入で返済できる場合は、経済的に安定していると判断できます。
30歳前後であれば、子どもの教育費や老後の生活資金なども視野に入れたうえで、住宅ローンの返済計画を立てましょう。
好みの物件が見つかった時期
生活や家族の将来を見据え、自分にとって必要な条件を満たしているマンションを見つけた場合は、購入を検討しましょう。好みの物件を見極めるポイントは、以下のとおりです。
- 通勤時間や交通の便
- 周辺施設の充実度
- 設備や間取り
- 将来の家族計画に合った設計
- 建物の管理状態や修繕履歴
- 物件価格と世帯収入のバランス
- 維持費や管理費
希少性の高い立地や特徴を持つ物件、相場より安い良質な物件に出会えたときも購入のチャンスです。勢いだけで決断せず、物件の資産価値が維持・向上するかを冷静に判断しましょう。
後悔しないためのマンション購入のポイント

マンション購入は人生でも特に大きな決断の一つです。後悔しないためにも、マンション購入を検討する際は以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 物件価格だけでなく総額を確認する
- 立地の利便性を確認する
- リセールバリューをチェックする
物件価格だけでなく総額を確認する
マンションの購入を考えるときに物件価格だけに注目してしまうと、実際にかかる総額を見誤ってしまいます。物件価格以外にも多くの費用がかかるため、総額をしっかり確認しましょう。物件価格に加えて発生する費用は、以下のとおりです。
- 仲介手数料
- 登記費用
- 印紙税
- 住宅ローン関連費用
- 引っ越し費用
- 家具・家電の購入費
マンションの場合は、管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費も計算に入れておく必要があります。将来的なリフォーム費用や修繕費の積立も見込んでおきましょう。物件価格が同じでも、諸経費や維持費によって総コストが大きく変わるため注意が必要です。
諸費用は、一般的に物件価格の10〜20%程度を確保しておくと安心です。
立地の利便性を確認する

マンション選びにおいて、立地の利便性は生活の質に直結します。駅から徒歩10分以内で、通勤・通学時間が30分以内のマンションが理想的です。以下の点も、住まいの利便性を左右するポイントです。
- 買い物施設や医療機関が徒歩圏内にあるか
- 教育環境や子育て支援施設が充実しているか
- 複数の交通手段が利用できるか
- 周辺に飲食店やカフェなどの店舗があるか
- 災害リスクについてのハザード情報が確認できるか
マンションを選ぶ際は、住環境の快適さと安全性を総合的に判断しましょう。
リセールバリューをチェックする
将来的なマンションの売却を考えると、リセールバリューの高い物件がおすすめです。マンションは単なる住まいではなく大切な資産であるため、購入時の判断が将来の資産価値に大きく影響します。リセールバリューが高い物件の共通点は、以下のとおりです。
- 駅から近い
- 有名デベロッパーが管理している
- 管理体制が整っている
- 周辺環境が充実している
- 築年数が浅い
- 耐震性が高い
間取りや設備が特殊なマンションは、購入希望者の好みが分かれるため、将来的な物件の売却時に不利になる可能性があります。修繕積立金の積立状況や、大規模修繕の実施履歴も資産価値を維持するうえで重要です。しっかりと修繕が行われている物件は、経年劣化による価値の下落を抑えやすくなります。
人口が増加している地域や再開発計画がある地域の物件は、将来的な資産価値の向上も期待できます。
まとめ

マンション購入を検討している場合は、家族構成や働き方、経済状況など、将来の見通しを明確にしたうえで判断しましょう。家族計画が未定の時期や転職・転勤が多い時期、定年直後などは環境の変化が起きやすく、マンション購入には適していません。
金利上昇期や景気悪化前、マンション価格の高騰期も購入を避けるべきです。購入に適した時期には、ライフステージが安定している時期や経済的に余裕がある時期が挙げられます。マンションの購入で後悔しないためには、物件の総額確認や立地の利便性、リセールバリューを検討しましょう。
中古マンションを検討する場合は、築年数や構造、管理状況、修繕履歴・計画の確認が欠かせません。マンションの購入を検討する際は、慌てずライフプランに合わせた判断をしましょう。
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