マイホーム購入を検討する際、多くの人が気になるのは「住宅ローン控除」です。しかし、住宅ローンの適用条件や手続きが複雑で、どのくらいお得になるのかわかりにくいと感じていませんか?
この記事では住宅ローン控除の適用条件から手続き、還付金の計算方法を解説します。記事を読めば住宅ローン控除の制度を正しく理解し、損することなく最大限のメリットを受ける方法がわかります。
住宅ローン控除の還付金は初年度は確定申告の約1か月後、2年目以降は年末調整で受け取ることが可能です。手続きを漏れなく行い、賢く節税メリットを享受しましょう。
住宅ローン控除の適用条件

住宅ローン控除は税負担を軽減する制度ですが、利用するには国が定めた条件を満たす必要があります。住宅ローン控除の適用条件について以下の項目に分けて解説します。
- 住宅の種類
- 住宅の耐震基準
- 購入者における条件
住宅の種類
住宅ローン控除の適用条件は購入する物件が新築か中古か、リノベーション済みかによって異なります。新築物件が住宅ローン控除を受ける場合は省エネ性能の高さが重視されます。国が定める省エネの基準を満たしているかによって、控除される金額が変わるからです。
中古物件の住宅ローン控除を受けられる条件は、1982年1月1日以降に建てられた「新耐震基準」を満たす住宅であるかどうかです。リノベーション物件は工事費用が100万円を超えるなど、一定の条件を満たすリフォーム工事を行った場合に住宅ローン控除が適用されます。
どの物件にも共通する住宅ローン控除適応条件は以下のとおりです。
- 床面積が50㎡以上
- 床面積の半分以上を住居として使用
自分が検討している物件がどの条件に当てはまるのか、事前に確認しておきましょう。
» 中古マンション購入時の住宅ローン控除の条件や手続きを解説!
住宅の築年数と耐震基準

住宅ローン控除の適用には新耐震基準を満たしていることが求められます。国が安全な住宅の購入を支援する制度であるためで、基準を満たさない建物は原則として住宅ローン控除の対象になりません。
住宅ローン控除の対象になるのは1982年1月1日以降に建築された建物です。1982年1月1日以降は「新耐震基準」というより厳しい基準で建設されています。「建築確認済証」や「建物の登記事項証明書」で正確な建築年月日を確認しましょう。
1982年より前に建築された古い建物でも、以下のいずれかの証明書があれば住宅ローン控除を受けられる可能性があります。
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅売買瑕疵保険への加入証明書
- 住宅性能評価書(耐震等級1以上)
住宅ローン控除に必要な証明書は物件の引き渡し日までに取得する必要があります。不動産会社に証明書が取得できるか、いつまでに手に入るかを契約前に必ず確認することが大切です。
購入者における条件
住宅ローン控除が適用されるためには物件だけでなく、購入者に関わる以下の条件に該当している必要があります。
- 住宅の新築・取得等の日から6か月以内に居住
- 世帯所得の金額が2,000万円以下
夫婦で協力してローンを組むペアローンは、それぞれが自分の持ち分に応じて住宅ローン控除を申請する点も覚えておきましょう。住宅ローン控除が適用されるか事前にしっかり確認することで、控除のメリットを確実に受けられます。
住宅ローン控除の還付金はいつもらえるか?

住宅ローン控除の還付金について、以下の項目に分けて解説します。
- 初年度の還付金受け取り時期
- 2年目以降の還付金受け取り時期
初年度の還付金受け取り時期
初年度の住宅ローン控除の還付金は確定申告をしてから1~1.5月後に受け取れます。還付金の申請はe-Tax(電子申告)を利用すると手続きが早くなり、2〜3週間程度で振り込まれます。
住宅ローン控除を初めて受ける年は自分で確定申告を行う必要があるため、忘れないように注意してください。確定申告は住宅に入居した翌年の2月16日~3月15日の間に行います。
還付金が振り込まれる前に税務署から「国税還付金振込通知書」というお知らせのハガキが届きます。
2年目以降の還付金受け取り時期
2年目以降の住宅ローン控除の還付金は会社員の場合、年末調整で手続きが完了します。還付金は12月か翌年1月の給与と合わせて振り込まれることが一般的です。初年度の確定申告に比べて2年目以降は還付金の受け取り手続きが簡単になります。
年末調整の手続きが完了すると、12月か翌年1月の給与に還付金が上乗せされます。還付金は12月の所得税が減額される場合もあるため、給与明細を確認しましょう。
自営業の方や会社員で年末調整の手続きを忘れてしまった場合は、初年度と同じく確定申告が必要です。確定申告を行うと申告から1〜1か月半後に指定した銀行口座へ還付金が振り込まれます。e-Taxで確定申告を行うと還付までの期間が約3週間に短縮されることもあります。
住宅ローン控除の還付金の手続き方法

住宅ローン控除の還付金の手続きは初年度と2年目以降で異なります。住宅ローン控除の還付金の手続き方法について、初年度と2年目以降に分けて解説します。
初年度の確定申告手続きの流れと必要書類
住宅ローン控除を初めて受ける年は会社員でも確定申告が必要です。確定申告の手続きをスムーズに進めるには、あらかじめ全体の流れを理解し、必要な書類を計画的に準備しましょう。
最初に国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用し、確定申告書を作成してください。作成した確定申告書をe-Taxや郵送、税務署の窓口のいずれかで提出します。確定申告書提出後1~1.5か月で還付金が指定口座に振り込まれる流れです。
確定申告手続きには以下の書類が必要なため、早めに確認して準備を始めましょう。
- 本人確認書類
- 確定申告書
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 源泉徴収票
- 金融機関発行の住宅ローンの年末残高等証明書
- 物件の売買契約書・工事請負契約書の写し
- 土地・建物の登記事項証明書
- (中古住宅の場合)耐震基準適合証明書など
- (認定住宅の場合)認定通知書の写し
2年目以降の年末調整手続きの流れと必要書類
住宅ローン控除の2年目以降の手続きは初年度の確定申告と異なり、会社の年末調整だけで完了します。自分で税務署へ行く必要がありません。勤務先から必要な書類を受け取って記入し、提出しましょう。
年末調整で勤務先から受け取る「住宅借入金等特別控除申告書」に必要事項を記入してください。記入した「住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関から届いた「年末残高等証明書」をあわせて勤務先に提出します。
勤務先が年末調整の計算を行い手続きは完了です。年末調整に必要な書類は無くさないように大切に保管しておきましょう。
住宅ローンの控除額と還付金の計算方法

住宅ローンの控除額と還付金のそれぞれの計算方法について解説します。
住宅ローン控除額の計算方法
住宅ローン控除額の計算方法は「控除額 = 年末の住宅ローン残高 × 0.7%」です。ただし、控除できる金額には上限が設けられています。控除額の上限は物件の種類ごとに定められた借入限度額で決まります。
中古住宅の借入限度額は省エネ基準を満たす住宅で3,000万円、その他の住宅は2,000万円です。新築住宅の借入限度額は長期優良住宅で4,500万円、ZEH水準省エネ住宅は3,500万円、省エネ基準適合住宅は3,000万円です。
住宅ローン還付金の計算方法
住宅ローン還付金の具体的な計算方法は所得税額と控除額のどちらが大きいかによって変わります。控除額の全額が必ずしも還付されるわけではないので、計算方法を正しく理解しておきましょう。源泉徴収票を用意して所得税額を確認するとスムーズに還付金の計算ができます。
控除額が所得税額よりも少ない場合の還付金額は「住宅ローン控除額」と同額です。所得税が20万円、住宅ローン控除額が18万円の場合は、18万円が所得税から還付されます。
控除額が所得税額よりも多い場合の還付金額は「所得税の全額」です。所得税が15万円、住宅ローン控除額が18万円の場合、所得税の15万円全額が還付されます。控除しきれなかった3万円(18万円 – 15万円)は、翌年の住民税が安くなる形で還元されます。
住民税から差し引かれる金額には「課税所得金額の5%(最大9.75万円)」の上限があるので、覚えておきましょう。
住宅ローン控除を最大限に活用するための2つのポイント

住宅ローン控除を最大限活用するためのポイントは以下のとおりです。
- 年末の住宅ローン残高の確認と管理を行う
- 最新の税制改正情報をチェックする
年末の住宅ローン残高の確認と管理を行う
住宅ローン控除を最大限に活用するためには、年末時点の住宅ローン残高を正確に把握し、計画的に管理することが大切です。住宅ローン控除で戻ってくる税金の額は年末の住宅ローン残高をもとに計算される仕組みになっています。年末のローン残高が減ると、受け取れる控除額も少なくなってしまう場合があります。
以下の3つのポイントを意識して住宅ローン残高の確認と管理を行いましょう。
- 年末残高の確認
- 繰り上げ返済のタイミング
- 借入限度額の確認
毎年10~11月頃に郵送される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」で正確な残高を確認してください。控除期間中に繰り上げ返済をすると年末残高が減り、控除額も減少します。支払う利息の軽減額と減ってしまう控除額を比較し、年明けに返済するなど繰り上げ返済はタイミングを慎重に判断しましょう。
年末の住宅ローン残高を少し意識するだけで、受け取れる還付金が変わってくる可能性があります。計画的な資金管理を心がけ、住宅ローン控除のメリットを最大限に生かしましょう。
最新の税制改正情報をチェックする
住宅ローン控除を最大限に活用するには最新の税制改正情報を確認しましょう。制度の内容は定期的に見直され、控除を受けられる条件や金額が変わる可能性があるからです。2024年以降の制度では以下のような変更点がありました。
- 新築住宅の条件厳格化
- 省エネ性能による限度額の変動
- 子育て・若者夫婦世帯への優遇
- 中古住宅の条件緩和
国土交通省や国税庁の公式サイトなどで最新情報を確認し、自分の住宅購入計画にどう影響するかを把握しておきましょう。
住宅ローン控除に関するよくある質問

住宅ローン控除の制度は複雑で手続き中に疑問が生じることがあります。住宅ローン控除に関するよくある以下の質問について解説します。
- 住宅ローン控除の申請を忘れた場合も、後から申請できる?
- 住宅ローン控除は、ふるさと納税との併用はできる?
住宅ローン控除の申請を忘れた場合も、後から申請できる?
住宅ローン控除の申請を忘れてしまっても、過去5年分まで遡って申請できます。「還付申告」という手続きをすることで、払い過ぎた税金を返してもらうことが可能です。
還付申告ができる期間は控除を受けたい年の翌年1月1日から5年間です。2023年分の申請を忘れた場合、2024年1月1日から2028年12月31日までの間に申告すれば問題ありません。万が一住宅ローン控除の申請を忘れても、5年の猶予期間があるので落ち着いて手続きを進めてください。
住宅ローン控除は、ふるさと納税との併用はできる?
住宅ローン控除とふるさと納税は併用利用可能です。ただし、住宅ローン控除で所得税が0円になると自己負担額が増える可能性があります。住宅ローン控除額を考慮してふるさと納税の上限額のシミュレーションを行い、併用を検討しましょう。
住宅ローン控除を初めて申請する年は確定申告が必須のため、ふるさと納税のワンストップ特例制度は利用できません。ふるさと納税の分も忘れずに確定申告で手続きを行いましょう。
住宅ローン控除の手続きを漏れなく行い、メリットを最大限に活用しよう

住宅ローン控除はマイホーム購入後の家計負担を大きく軽減できる制度です。しかし、住宅ローン控除は自動適用されないため、初年度の確定申告と2年目以降の年末調整手続きが必須です。手続きを怠ると大きな節税機会を逃してしまいます。
住宅ローン控除の申請には売買契約書やローン残高証明書など多くの書類が必要なため、事前準備が重要です。住宅ローン控除は十数年間にわたる税負担軽減効果があります。最大限に住宅ローン控除を活用するために、わからない点は税務署や税理士に相談し、計画的に準備を進めましょう。

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