結婚を機にマイホーム購入を検討する場合、中古マンションは有力な選択肢の一つです。しかし、中古マンションで住宅ローン控除が使えるのかわからず不安に感じていませんか?この記事では中古マンション購入時に住宅ローン控除を受けるための条件や手続き、注意点を詳しく解説します。
記事を読めば中古マンションが住宅ローン控除の対象になるか判断でき、節税しながら理想のマイホームを手に入れられます。中古マンションは一定の条件を満たせば住宅ローン控除の適用が可能です。中古マンションの築年数や耐震性などを事前に確認し、賢く住宅ローン控除を活用しましょう。
中古マンション購入時にも住宅ローン控除は受けられる

中古マンションを購入する場合でも一定の条件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。住宅ローン控除とは住宅ローンの年末残高に応じて所得税や住民税が減額される制度です。住宅ローン控除を活用すれば、中古マンション購入に伴う家計の負担を軽減できます。
特に新築より価格を抑えられる中古マンションでは、住宅ローン控除による節税効果を実感しやすくなります。
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中古マンション購入時の住宅ローン控除の適用条件

中古マンションで住宅ローン控除を受けるには以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 物件の条件
- 所得の条件
- ローンに関する条件
物件の条件
中古マンションで住宅ローン控除を受けるための物件の条件は以下のとおりです。
- 登記簿上の床面積が50㎡以上かつ床面積の1/2以上が居住用である
- 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された物件である
- 同一生計の親族等からの購入や贈与物件でない
住宅ローン控除を受ける中古マンションは投資用ではなく、控除を受ける本人が実際に住むための家でなければなりません。中古マンションが基準日以前の建築であっても、新耐震基準に適合していると証明できれば住宅ローン控除の対象となります。
所得の条件

中古マンションで住宅ローン控除を受けるには、購入者の合計所得額が2,000万円以下でなければいけません。合計所得とは給与所得や事業所得、不動産所得などを合算した金額を指します。中古マンション購入者の合計所得額が2,000万円を超えると、住宅ローン控除の対象外となります。
合計所得額はボーナスや副業収入なども含めて計算される点に注意が必要です。夫婦でペアローンを組む場合はそれぞれの所得が条件を満たすか確認しましょう。事前に源泉徴収票や確定申告書で自分の合計所得を把握しておけば、中古マンション購入後に住宅ローン控除が使えなくなるリスクを防げます。
ローンに関する条件
中古マンションで住宅ローン控除を受ける場合、ローン返済期間が10年以上であることが必須です。住宅ローンの借入先は銀行や信用金庫、住宅金融支援機構などの公的・民間金融機関であることが条件となります。親族や知人からの借入や住宅購入以外の用途を含む借入の場合は、住宅ローン控除を受けられません。
住宅ローン控除を受けるためにはローン契約者本人が実際に住むことが前提となります。購入後すぐに賃貸に出す場合は住宅ローン控除の対象外です。住宅ローンの返済義務は契約者本人であることが必要で、保証人の立場では控除は適用されません。
中古マンション購入時に住宅ローン控除を受けられないケース

中古マンションを購入しても住宅ローン控除を受けられないケースとして以下が挙げられます。
- 床面積が50㎡未満の物件
- 1982年(昭和57年)1月1日以前に建築された物件
- 同一生計の親族や家族から購入した物件や贈与物件
- 購入後6か月以内に居住せず同年12月31日まで継続居住しない場合
- 控除を受ける年の合計所得が2,000万円を超える場合
- 住宅ローンの返済期間が10年未満の場合
- 床面積の2分の1以上を自己居住用として使わない場合
- 金融機関以外から借入している場合
中古マンションを購入する際は事前に物件・ローン・所得の各条件を確認し、住宅ローン控除が確実に適用されるようにしましょう。
中古マンション購入時に住宅ローン控除を適用するメリット3選

中古マンション購入時に住宅ローン控除を適用すると、以下のメリットがあります。
- 総支払額を軽減できる
- 新築より手頃な金額から控除を受けられる
- 長期的な資金計画を立てやすくなる
総支払額を軽減できる
住宅ローン控除を適用すると、中古マンション購入時の総支払額を大きく減らせます。住宅ローン控除は年末のローン残高に応じて所得税や住民税が減額され、支払う税金が少なくなる制度です。年末残高が3,000万円の住宅ローンの場合、初年度は最大21万円(控除率0.7%)が所得税などから控除されます。
住宅ローン控除を適用すると、中古マンション購入にかかる総支払額を数百万円単位で軽減できます。控除によって浮いた資金は住宅ローンの繰り上げ返済に充てることが可能です。中古マンションを選ぶ際は価格や立地だけでなく、住宅ローン控除による総支払額の軽減効果も考慮しましょう。
新築より手頃な金額から控除を受けられる

中古マンションは新築よりも手頃な価格で購入できるうえ、住宅ローン控除でさらに総支払額を抑えることが可能です。中古物件でも条件を満たせば新築と同様に住宅ローン控除が適用されます。中古マンションなら購入時の費用負担を減らしつつ、住宅ローン控除でさらに節税効果を得られます。
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住宅ローン控除によって浮いた資金は中古マンションのリフォームやインテリア購入に充てるのがおすすめです。新築にこだわらず中古マンションを選べば、資金面と住み心地のバランスを取りやすくなります。
長期的な資金計画を立てやすくなる
中古マンションの住宅ローン控除は単なる節税ではなく、長期的な資金管理にも役立つ制度です。住宅ローン控除によって毎年の税負担が軽くなるため、将来の生活設計を考えやすくなります。年間20万円の住宅ローン控除が10年間続けば、合計200万円の節税分を教育資金や老後資金に充てることが可能です。
住宅ローン控除適用中の節税額をシミュレーションしておけば将来の家計予測がしやすくなり、急な出費にも対応できます。
中古マンションの住宅ローン控除額の計算方法

中古マンションの住宅ローン控除額の計算式は「年末の住宅ローン残高 × 控除率(0.7%)」です。住宅ローンの年末残高が3,000万円の場合、21万円が控除額となります。所得税額を超えた分の住宅ローン控除額は一定額まで住民税で控除されます。
住宅ローン控除の適用期間は原則10年間です。省エネ基準を満たす物件や特例が適用される場合は控除期間が13年間になります。中古マンションでも新築と同様に購入年度によって制度内容や上限額が異なります。最新の税制改正で中古マンションの住宅ローン控除に関する条件を確認しましょう。
中古マンションの住宅ローン控除手続き

中古マンションの住宅ローン控除は初年度と2年目以降で手続き方法が異なります。以下の2点について詳しく解説します。
- 控除を受ける最初の年は確定申告が必要になる
- 2年目以降は年末調整で申請する
控除を受ける最初の年は確定申告が必要になる
中古マンションで住宅ローン控除を受ける場合、最初の年は必ず確定申告が必要です。新たに住宅ローン控除を適用するために、税務署へ必要書類を提出して手続きを行います。住宅ローン控除の確定申告に必要な書類は以下のとおりです。
- 住宅ローンの年末残高等証明書(借入先の金融機関から発行)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(国税庁のサイトで入手)
- 建物・土地の登記事項証明書(法務局で取得)
- 建物・土地の不動産売買契約書または請負契約書の写し
- 耐震基準適合証明書(中古物件の場合)
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 確定申告書
- 本人確認書類の写し
- 住民票
確定申告の期間は通常、毎年2月16日から3月15日までです。住宅ローン控除は居住地を管轄する税務署への書類提出かe-Taxを利用したオンライン申請で申告できます。住宅ローン控除の申告が受理されると、約1〜1.5か月後に納めすぎた所得税が還付金として指定の口座に振り込まれます。
初年度に住宅ローン控除の申告を忘れても、翌年以降5年間は還付のための申告が可能です。
2年目以降は年末調整で申請する
中古マンションの住宅ローン控除は2年目以降、会社の年末調整だけで手続きできます。初年度に税務署で住宅ローン控除の登録が完了すると、翌年以降は勤務先が年末調整で自動的に控除を反映してくれるからです。住宅ローン控除を受けるには年末調整のタイミングで以下の2つの書類を提出してください。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
控除申告書は初年度の確定申告後、税務署から残りの期間分がまとめて送られます。年末残高等証明書は毎年10月頃に住宅ローンを組んだ金融機関から届きます。控除申告書は数年分が一度に届くため、紛失しないように保管しておきましょう。
中古マンション購入時に住宅ローン控除を受ける際の注意点

中古マンション購入時に住宅ローン控除を受ける場合、以下の点に注意が必要です。
- 併用できない特例や控除がある
- 耐震性が証明できない物件は控除を受けられない
- 住まなくなった場合は原則控除の対象外になる
併用できない特例や控除がある
中古マンションの住宅ローン控除と併用できない特例や控除は以下のとおりです。
- 特定取得に係る長期譲渡所得の課税特例
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 住宅取得等資金の贈与税非課税制度
「特定取得に係る長期譲渡所得の課税特例」や「居住用財産の3,000万円特別控除」は住宅の売却や買い替えに関する特例です。控除の趣旨が重複するため住宅ローン控除と併用できません。「住宅取得等資金の贈与税非課税制度」については住宅ローンと併用する場合、一定の条件があります。
耐震性が証明できない物件は控除を受けられない

住宅ローン控除の対象は1982年(昭和57年)1月1日以降に建築された中古マンションです。1982年(昭和57年)1月1日以前の中古マンションの場合、耐震性の証明が必要です。中古マンションの耐震性を証明するには、物件の引き渡し日までに以下の書類を取得してください。
- 耐震基準適合証明書
- 既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
- 既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
耐震性を証明できる書類がないと、実際には耐震性能があっても住宅ローン控除の対象外となります。証明書の取得には費用や時間がかかる場合があるため、中古マンション購入前に売主や不動産会社に必要書類の有無を確認しておきましょう。
住まなくなった場合は原則控除の対象外になる
住宅ローン控除は自らが居住する住宅であることが前提の制度です。一度入居した中古マンションでも、住まなくなれば原則として住宅ローン控除の対象外になります。住宅ローン控除が「自分が住むための住宅取得を支援する」ことが目的の制度だからです。
ただし、単身赴任ややむを得ない事情で一時的に空き家になる場合は住宅ローン控除を継続できるケースもあります。状況によって判断が分かれるため、居住状況が変わる可能性があるときは事前に税務署へ相談しましょう。一度住宅ローン控除が打ち切られても、再居住してから残りの期間で控除を再開できる可能性があります。
中古マンションの住宅ローン控除に関するよくある質問

中古マンションの住宅ローン控除について以下の質問に回答します。
- リフォーム費用は控除対象になる?
- 一時的にマンションに住まなくなった場合はどうなる?
- 夫婦で住宅ローンを借りた場合の控除は?
リフォーム費用は控除対象になる?
中古マンションを購入する際、一定の条件を満たせばリフォーム費用も住宅ローン控除の対象になります。リフォームで中古マンションの住宅ローン控除が適用される条件は以下のとおりです。
- 自分が所有し居住する住宅である
- リフォーム工事完了後6か月以内に居住開始する
- リフォーム費用(補助金差引後)が100万円を超えている
- 国が定める基準を満たす工事内容である
- 増改築等工事証明書や証明書類が発行されている
国が定める基準を満たす工事とは耐震改修やバリアフリー化、省エネ改修などです。中古マンションを購入して同時に耐震補強や断熱工事を行った場合、工事費用も住宅ローン控除の対象となります。ただし、壁紙の張り替えやキッチン交換などの内装リフォーム単体では、住宅ローン控除の対象外になるケースがほとんどです。
一時的にマンションに住まなくなった場合はどうなる?

一時的に中古マンションに住まなくなると、原則として非居住期間中は住宅ローン控除を受けられません。ただし、やむを得ない事情で一時的に不在となり一定期間内に再び居住する場合は、住宅ローン控除を継続できる可能性があります。非居住期間中に中古マンションを賃貸に出すと、住宅ローン控除は停止されます。
単身赴任で家族だけが中古マンションに住み続けているケースでは、原則として住宅ローン控除の継続が可能です。完全に空き家にする場合や別の住居を取得して主たる居住地が変わる場合は、住宅ローン控除の対象外となります。状況によって住宅ローン控除を受けられるかどうかが変わるため、事前に税務署へ相談しましょう。
夫婦で住宅ローンを借りた場合の控除は?
夫婦で中古マンションの住宅ローンを借りた場合も、条件を満たせばそれぞれが住宅ローン控除を受けられます。ペアローンや連帯債務方式であれば、借入額や持分割合に応じて控除額が計算されて夫婦それぞれ節税が可能です。
中古マンションをペアローンにすれば、単独名義よりも住宅ローン控除の総額が増える可能性があります。ただし、連帯保証人として署名しただけでは住宅ローン控除の対象にはなりません。
中古マンションの住宅ローン控除を受けて賢く節税しよう

中古マンションは一定の条件を満たすと住宅ローン控除を受けられます。中古マンションを購入する際は物件の築年数や耐震性、床面積に加え、契約者の所得や住宅ローン期間などを確認しましょう。住宅ローン控除の申請に必要な書類をそろえて手続きを行えば、初年度から節税の効果を得られます。
中古マンションで住宅ローン控除を適用すると、総支払額の軽減や長期的な資金計画の立てやすさなどのメリットがあります。一方で、耐震性の証明が住宅ローンの審査で必要なケースもある点に注意してください。中古マンションの住宅ローン控除を活用し、賢く節税しつつ理想のマイホームを手に入れましょう。
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