- マンションの価格が高すぎて、購入すべきか迷っている
- 将来価格が下がるなら今は買わずに待った方がいいのでは?
- いつになったら価格が下がるのか、正確な情報がほしい
結婚を機に住宅購入を検討している方にとって、近年のマンション価格高騰は大きな悩みの種です。この記事では、マンション価格の下落時期の予測と判断材料となる経済指標、市場動向について詳しく解説します。記事を読めば、マンション市場の仕組みを理解し、自分自身の状況に合わせた最適な購入判断が可能です。
マンション価格の下落は金利上昇や景気後退などの複合的な要因によって引き起こされます。今後、経済は緩やかな調整局面に入る可能性が高いと予測されます。
マンション価格はいつ下落する?基礎知識を解説

マンション価格の下落について、以下の基礎知識を解説します。
- 過去の価格下落時期の分析
- 現在の価格高騰が続く理由
- 下落の可能性が高まるシナリオ
過去の価格下落時期の分析
バブル崩壊時はマンション価格が下落し、都心部の高級物件は価格が半分以下になるケースも見られました。リーマンショック後には、世界的な金融危機の影響で約10〜15%の価格下落が見られました。他にも、金利上昇期にはマンション価格が下落しやすい傾向があります。
住宅ローンの金利が上昇すると購入者の借入可能額が減少し、需要が落ち込みます。住宅ローン減税の縮小や固定資産税の増税後には、価格調整が発生しやすいです。2000年代前半のように新規供給が需要を上回ると、価格が緩やかに下落します。
コロナショック初期には一時的な取引停滞と価格調整がありましたが、長期的な下落には至りませんでした。
現在の価格高騰が続く理由

マンションの価格高騰は以下の要因によって引き起こされます。
- 建設資材の高騰
- 円安による輸入建材コスト増加
- 人手不足による人件費上昇
- 低金利政策の長期化
- コロナ禍での住環境重視傾向
- 都心部の土地希少性
世界的な木材価格の高騰や鉄鋼材料の価格上昇により、建築コストが大幅に増加しました。円安が追い打ちをかけ、輸入建材のコストがさらに上昇しているのが現状です。建設業界の人手不足も価格上昇に拍車をかけています。
下落の可能性が高まるシナリオ
不動産市場には約10年周期の上昇・下落サイクルがあり、現在の高騰がいつまでも続くわけではありません。価格下落の要因としては、金利上昇があります。住宅ローン金利が上がると借入可能額が減少し、需要が低下するためです。
景気後退や雇用不安などの経済悪化、建築資材価格の安定化による新築供給増加も価格下落につながります。少子高齢化による長期的な需要減少やテレワーク普及による都心回帰の弱まり、中古マンション在庫の増加も価格下落の要因です。
マンション価格に影響を与える要因

マンション価格に影響を与える要因は、以下のとおりです。
- 金利と住宅ローンの影響
- インフレと経済政策の影響
- 地価や建築費の動向
金利と住宅ローンの影響
住宅ローン金利の上昇は、マンション価格に大きな影響を与えます。日銀の金融政策変更で長期金利が上昇し、住宅ローン金利も上昇したため、多くの人が変動金利から固定金利へ移行しています。固定金利は変動金利よりも高いため、借入可能額が減少するのが一般的です。金利が1%上昇すると借入可能額は約10%減少します。
年収600万円で金利1%なら3,000万円借りられるところ、2%では2,700万円程度に減少します。金利上昇時には審査厳格化や優遇措置の変更も見られるのが一般的です。米国の金利政策も間接的に影響し、頭金の重要性が高まります。
インフレと経済政策の影響

インフレは住宅市場に大きな影響を与える要因です。建築資材価格の上昇が新築マンション価格を押し上げ、中古マンションに対する需要が高まっています。日銀の金融緩和政策転換により住宅ローン金利は上昇傾向にあり、借入可能額は減少します。一方、住宅ローン減税などの政策は価格の下支え要因です。
インフレによる金融資産の実質価値低下から不動産投資への関心も高まり、円安進行で外国人投資家の参入も増加しています。しかし、賃金上昇率がインフレに追いついていないため購買力は低下し、管理費や修繕費も上昇しています。
地価や建築費の動向
近年の地価と建築費はともに上昇傾向にあり、マンション価格に大きな影響を与えています。地価は都市部で顕著な上昇が続いており、首都圏では年率2〜3%程度で推移しています。一方、地方では人口減少の影響で地価が下落しているエリアもあり、都市部との格差が広がっている状況です。
建築費の高騰が続いている要因は、以下のとおりです。
- 建築資材の価格上昇
- 建設業界の人手不足
- ウクライナ情勢
- 円安の影響
- 環境規制強化
建築費の上昇率は年間3〜5%程度で推移しており、当面続く見通しです。建築資材の世界的な供給不足は徐々に緩和される傾向にありますが、価格の下落にはまだ至っていません。
【地域別】マンション価格の動向と予測

地域別のマンション価格の動向と予測について、以下の項目ごとに解説します。
- 都心部の価格動向と将来の予測
- 郊外の価格安定性と変動要因
- 地方都市の価格下落傾向と要因
都心部の価格動向と将来の予測
都心部のマンション価格は現在、過去最高水準で高止まりしています。過去10年間で中古マンション価格は約30〜50%も上昇し、23区内の新築マンションの平均価格は1億円を超える状況です。千代田区や中央区、港区、新宿区、渋谷区といった都心5区では平均坪単価が300万円を超え、高い水準となっています。
少子高齢化の影響で2030年頃から緩やかな価格下落が始まる可能性があります。しかし、築古物件については二極化が進むと予測されており、管理状態の良い物件は資産価値を維持する見通しです。
郊外の価格安定性と変動要因

郊外のマンションは都心部と比較して価格変動が緩やかで安定傾向にあります。子育て世代の流入が多いエリアは需要が継続的にあるため、価格は大きく変動しません。大型商業施設や教育機関が充実しているエリアは、価値が保たれやすい傾向があります。
テレワークの普及により、広い居住スペースが確保できる郊外物件への需要が増加しています。一方で、高齢化が進むエリアでは将来的に価格下落リスクがあるので注意が必要です。築年数の経過による資産価値の低下が都心より早い傾向がみられます。
» マンションの資産価値を決める要因を解説
地方都市の価格下落傾向と要因
地方都市のマンション価格は全国的な高騰傾向とは異なり、下落傾向が続いています。地方都市で不動産価格が下落する最大の要因は人口の減少です。若年層の大都市への流出が著しく、地方の住宅需要が年々減少しています。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、多くの地方都市では今後30年で人口が2〜3割減少する見込みです。地方都市の中でも、駅前や中心部の再開発が進まない地域では、古い物件の資産価値が急速に低下しています。地方都市での住宅購入を検討する場合、将来的な資産価値の低下リスクを考慮する必要があります。
マンション購入を考える際のポイント

マンション購入を考える際のポイントは、以下のとおりです。
- 購入のベストタイミングの見極め方
- 価格下落を待つリスク
- 価格以外の購入判断ポイント
購入のベストタイミングの見極め方
マンション購入のベストタイミングは、以下のとおりです。
- 年末年始や3月末などの決算期
- 販売開始から3か月以上経過した在庫物件
- 新築マンションの完成直前や引き渡し前の転売物件
景気後退期は物件の選択肢が増え、価格交渉がしやすいタイミングです。地域の再開発計画や交通インフラ整備の発表は物件価値に大きく影響します。計画の発表前に購入できれば、将来的な資産価値上昇が期待できます。税制優遇制度の終了前も購入を検討すべきタイミングです。
価格下落を待つリスク

良質な物件は市場に出ると比較的早く売れるため、下落を待っている間に理想の物件を逃す可能性があります。下落を待つ間も家賃支払いは続く点を見落としがちです。1年待てば月10万円の家賃で120万円のコストがかかり、マンション価格の下落幅が家賃を下回れば、待つ意味はなくなります。
市場が下落局面に入ると、中古物件の市場流通量も減少する傾向があります。売り手が損を避けるために売却を控えるためです。将来の修繕費や維持費の上昇リスクも考慮しましょう。経年劣化が進んだ物件を将来購入することになれば、リフォーム費用がかさむ可能性も高まります。
価格以外の購入判断ポイント
マンションの立地と交通アクセスは日々の暮らしに直結するため、価格以外の重要なポイントです。子育て世帯は、教育施設や公園の近さも考慮しましょう。構造や耐震性、建物の管理状態は安全性と資産価値維持に影響します。間取りは現在の家族構成だけでなく、将来の変化にも対応できる柔軟性が必要です。
日当たりや騒音状況は、朝や夕方など異なる時間に見学して確認しましょう。将来の資産価値は周辺の再開発計画や物件の希少性に左右されます。築年数と設備状態は将来的な追加コストに関わります。住環境と治安は実際に周辺を歩いて確認しましょう。
» 中古マンション買うなら築何年がベスト?上手な選び方を解説!
マンション売却を考える際のポイント

マンション売却を考える際のポイントは、以下のとおりです。
- 売却タイミングの見極め方
- 売却時に注意すべき経済指標
- 高く売るためのポイント
売却タイミングの見極め方
マンションを売却するおすすめのタイミングは、以下のとおりです。
- 築15〜20年に達する前
- 大規模修繕の直後
- 周辺の再開発計画発表後
築15〜20年に達する前の売却を検討することで資産価値の下落を防げます。大規模修繕の直後は物件価値が一時的に高まります。周辺の再開発計画発表後、完成前は価格上昇が見込まれる好機です。実際の判断では、同じマンションや近隣の似た物件の売却事例と比較することも有効です。
» マンションの大規模修繕の必要性と工事開始までの流れ
売却時に注意すべき経済指標

住宅ローン金利上昇傾向がある中、上昇前の売却検討が重要です。インフレ率が高くても実質賃金が追いついていない場合、消費者の購買力は低下します。注視すべき指標は、消費者物価指数(CPI)上昇率や実質賃金伸び率、住宅購入余力の変化です。GDP成長率も重要で、経済成長鈍化は住宅市場冷え込みの前兆となります。
2四半期連続のマイナス成長には注意が必要です。住宅着工件数や中古マンション在庫数、地価公示価格、不動産取引件数から市場動向の把握が可能です。政府の住宅政策や税制改正前の売却は買い手へのメリットを訴求できます。円安進行時は海外投資家の需要が高まり、都心の優良物件では外国人投資家からの関心が集まります。
高く売るためのポイント
マンションを高く売却するには、物件の見栄えと魅力を最大限に引き出す工夫が重要です。売却前に内装をリフレッシュすることで印象が大きく変わります。クロスの張り替えやフローリングの清掃などを行いましょう。水回りは購入検討者が最も気にする部分です。
リフォームやメンテナンスを行い、評価を上げましょう。売却のタイミングは、住み替え需要が高まる春(3〜5月)や秋(9〜11月)がおすすめです。周辺相場より少し低めの価格設定で早期売却を狙う戦略も効果的な販売方法の一つです。
管理費・修繕積立金の滞納がないこと、修繕履歴や設備保証書などの書類を整理しておくことも忘れないでください。売却理由は「住み替え」や「転勤」など前向きな内容で説明すると、購入検討者に安心感を与えられます。
マンション市場の今後の展望

マンション市場の今後の展望として、以下の項目を解説します。
- 短期的な価格動向予測
- 中長期的な市場の変化予測
- 住環境の変化が与える影響
短期的な価格動向予測
今後1〜2年のマンション価格は、緩やかな調整局面に入り、大幅下落ではなく横ばいか小幅調整にとどまると予測されます。背景には、住宅ローン金利上昇による購入負担増加やインフレ継続による購買力低下があります。都心部の中古マンションは、需給バランスが良く下落幅は限定的です。
郊外物件は在宅勤務定着で需要維持、地方都市は少子高齢化で下落圧力が強まる可能性があります。円安継続中は、外国人投資家が都心部の高級物件を下支えします。
中長期的な市場の変化予測

今後10年間、日本の住宅市場は構造的変化を迎えます。少子高齢化でコンパクトシティ化が進み、駅近や利便性の高いエリアの価値は維持されると予測されます。建築資材高騰と人手不足で新築供給が制限され、リノベーション済み中古物件の価値が上昇する見込みです。
環境・省エネ性能による物件価格の二極化も進む見込みです。5〜10年後は相続増加で中古物件流通が増える一方、人口減少により地方や利便性の低いエリアの価値は下落リスクがあります。金利正常化で住宅ローン負担は増加し、空き家問題の深刻化で管理コストも上昇する可能性があります。
スマートホームやサステナブル住宅への需要も高まり、外国人居住者増加による新たな住宅需要も拡大する見込みです。
住環境の変化が与える影響
住環境の変化もマンション市場価格に大きな影響を与える要因です。リモートワークの普及で、通勤の便より広い住居への需要が高まり、都心コンパクトマンションの人気は低下しています。少子高齢化も住宅市場に大きな影響を与えています。
具体的な住環境の変化は、以下のとおりです。
- 家族向け大型物件の需要減少
- 高齢者向けバリアフリー物件の需要増加
- 医療・介護施設へのアクセスが良い立地
スマートホーム化やIoT技術の普及で新旧物件の設備格差が広がっています。しかし、リノベーションでスマート機能を取り入れれば価値維持が可能です。
まとめ

マンション価格の動向は、景気循環や金利政策など複数の要因によって左右されます。現在の価格高騰は低金利政策や都心回帰、建築資材の高騰などが原因であり、当面続く可能性が高い見込みです。
しかし、金利上昇や建築コストの増加、地域ごとの需給バランスの変化によって、今後の価格動向は大きく変わる可能性があります。都心部では比較的需要が安定しているため価格下落リスクは低いですが、郊外や地方では価格下落が起こりやすい状況です。
マンション購入を検討する際は市場動向だけでなく、自身のライフスタイルや資金計画を優先して判断することが大切です。価格下落を待ちすぎると、住宅ローン金利の上昇や希望物件を逃すリスクも生じます。マンション購入を検討している方は、総合的に判断し、自分のライフプランに合った選択をしましょう。
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