中古マンションの固定資産税を軽減する方法|住宅用地の特例やリフォームによる控除を解説​

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中古マンションの購入を検討しているものの、購入後にかかる固定資産税に不安を感じる人は多くいます。固定資産税の仕組みを知っておかないと、正確な支払い計画が立てられません。この記事では、中古マンションの固定資産税の基礎知識と計算方法、軽減策を解説します。

記事を読めば、購入後に必要な税額を正確に把握でき、家計管理への不安を解消できます。中古マンションの固定資産税は、評価額に1.4%の税率を掛けた金額です。固定資産税を正しく理解して、無理のない支払い計画を立てましょう。

中古マンションの固定資産税の基礎知識

中古マンションの固定資産税の基礎知識として以下を紹介します。

  • 固定資産税の概要
  • 中古マンションの固定資産税の特徴
  • 固定資産税が課税されるタイミング

固定資産税の概要

固定資産税は、マンションを含む土地や建物などの不動産に対して課される地方税です。毎年1月1日時点で不動産を所有している人に固定資産税が課税されます。住宅を購入すると固定資産税の支払いが毎年かかるため、仕組みや費用の理解が重要です。固定資産税の税額は「固定資産評価額×1.4%(税率)」で算出されます。

固定資産の課税対象は、マンションの専有部分と廊下やエントランスなどの共用部分の持分です。固定資産評価額は3年ごとに見直しが行われるため、金額が変動する場合があります。税金の納付は年4回に分けて行われ、通常は4月に納付通知書が届きます。

中古マンションの固定資産税の特徴

中古マンションは築年数が古くなるほど建物の評価額が下がり、固定資産税の負担も軽くなります。築10年を超える物件では、新築時と比べて建物評価額が大幅に下がる場合がほとんどです。マンションは土地の持分が小さいため、土地部分にかかる税負担は低く抑えられる傾向があります。

都心部や人気エリアでは、固定資産評価額が高く、税額が高くなる可能性があります。

固定資産税が課税されるタイミング

固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産を所有している人に対して課税されます。中古マンションを購入する際に知っておきたいのは、1月1日の所有者によって課税対象が決まる点です。2025年1月2日以降に物件を購入した場合、固定資産税は2024年の前所有者に課税されます。

年の途中でマンションを購入した場合は、固定資産税を日割りで計算するのが一般的です。7月に物件を購入した場合、7〜12月分の固定資産税相当額を支払うことで精算します。固定資産税の課税年度は、4月1日〜翌年3月31日までで、納税通知書は毎年4月頃に市区町村から送付されます。

納税通知書には、固定資産税評価額や税額の明細が記載されているため、内容を確認しましょう。固定資産税は自動的に課税され、特別な申告は不要です。
» 中古マンション 購入の流れをわかりやすく解説

中古マンションの固定資産税の計算に関する概要

以下の項目に分けて、中古マンションの固定資産税の計算方法を解説します。

  • 固定資産税の計算例
  • 固定資産税評価額と課税標準額の違い
  • 都市計画税との関係

固定資産税の計算例

固定資産税は、物件の種類や築年数、評価額によって異なります。代表的なケースをもとにした税額のイメージは、以下のとおりです。

物件タイプ価格評価額(建物+土地)税率1.4%の場合の税額
築10年のマンション(70㎡)5,000万円2,500万円35万円
築浅マンション(70㎡)6,000万円3,600万円50.4万円
一戸建て(土地50㎡+建物100㎡)6,000万円土地:1,500万円
建物:2,400万円
54.6万円

マンションの場合、同じ面積でも階数によって評価額が異なり、高層階ほど税額が高くなります。築年数が経過すると評価額は下がる傾向にあり、築10年で20%、築20年で40%程度減少します。

固定資産税評価額と課税標準額の違い

固定資産税評価額は不動産の価値のことで、一般的に市場価格の約70%に設定されています。実際の取引価格よりも固定資産税評価額は低く評価されることが一般的です。課税標準額は、固定資産税を計算する際の基準となる金額を指します。

原則として評価額と同額ですが、特例措置の適用により、課税標準額が軽減されるのが一般的です。土地は「負担調整措置」により、評価額よりも課税標準額が低く抑えられる場合があります。固定資産税評価額と課税標準額は3年ごとに見直されるため、不動産の購入後に税額が変動する可能性があります。

都市計画税との関係

都市計画税は、都市計画区域内の市街化区域にある土地や建物に対して課される税金です。すべての地域で課されるわけではなく、都市計画税は対象区域に限定されています。都市計画税は固定資産税と同じ課税標準額をもとに計算され、0.3%以下に設定されています。税率は自治体によって異なるため、注意が必要です。

都市計画税の課税のタイミングは固定資産税と同じで、共通の納付書で支払います。都市計画税には住宅用地の特例が適用されます。小規模住宅用地では課税標準額が1/3に、一般住宅用地では2/3に軽減される仕組みです。都市計画税は道路や公園、下水道の整備などの都市計画事業や土地区画整理事業に充てられます

中古マンションの固定資産税を軽減する方法

中古マンションの固定資産税を軽減する方法は、以下のとおりです。

  • 固定資産税の軽減措置
  • 住宅用地の特例
  • リフォームによる軽減措置

固定資産税の軽減措置

固定資産税は、一定の条件を満たすと税額を軽減できます。新築住宅を購入する場合は一般住宅で3年間、長期優良住宅に認定されている場合は5年間、建物部分の税額が半額になります。中古住宅でも、要件を満たして改修工事をすれば制度の対象です。

住宅の改修に伴う固定資産税の軽減内容は、以下のとおりです。

物件タイプ軽減期間軽減率適用対象面積
バリアフリー改修改修工事完了後の翌年度1年間1/3減額最大100㎡分
耐震改修改修工事完了後の翌年度から2年間1/2減額最大100㎡分
省エネ改修改修工事完了後の翌年度1年間1/3減額最大100㎡分

固定資産税の軽減措置を受けるには、一定の要件を満たしたうえで申請手続きが必要です。住宅ローン控除との併用も可能なため、両方の制度を活用すると、税負担をさらに軽減できます。災害で被災した住宅に対しては、被災の程度に応じて固定資産税が減免される制度もあります。
» マンションの大規模修繕の必要性と工事開始までの流れ

住宅用地の特例

住宅用地の特例は、住宅を所有する人の税負担を軽減する制度です。特例により、マンションの土地部分にかかる固定資産税と都市計画税が大幅に減額されます。税金の軽減率は、土地の広さによって変わります。

住宅用地の特例の内容は、以下のとおりです。

用地の種類固定資産税の軽減率都市計画税の軽減率
小規模住宅用地(200㎡以下)評価額の1/6に軽減評価額の1/3に軽減
一般住宅用地(200㎡以上)評価額の1/3に軽減評価額の2/3に軽減

70㎡のマンションを購入した場合、専有面積に応じた土地の持分をもとに、住宅用地の特例が適用されます。特例の対象となるのは、居住用の住宅だけであり、事業用や賃貸用の不動産には適用されません。店舗と住宅の併用物件は、居住部分の床面積割合に応じて軽減措置が適用されます。

一方で、建物が建っていない更地や、住宅を取り壊した状態の土地には特例は認められていません。ただし、新築・建替えを予定している場合は、最大2年間特例が継続されるケースがあります。相続で取得した空き家も、一定の条件を満たせば3年間は特例の対象です。

リフォームによる軽減措置

中古マンションをリフォームすると、固定資産税が軽減される制度があります。対象となる修繕内容と軽減措置の詳細は、以下のとおりです。

リフォームの種類固定資産税の軽減率期間面積の上限
省エネリフォーム固定資産税が1/3に減額翌年度1年間最大120㎡
バリアフリーリフォーム固定資産税が1/3に減額翌年度1年間最大120㎡
耐震リフォーム固定資産税が1/3に減額翌年度から2年間最大120㎡
長期優良住宅化リフォーム固定資産税が1/3に減額最大5年間要件により異なる

特例を受けるには、築年数や工事費用などの条件を満たす必要があります。特例の条件を満たしていても、工事完了日から3か月以内に自治体へ申告しないと、軽減措置は適用されないので注意しましょう。申告する際、工事証明書や領収書など、改修内容を証明する書類の提出が求められます。

築年数による中古マンションの固定資産税の変化

以下の築年数による中古マンションの固定資産税の変化を紹介します。

  • 築10年未満のマンション
  • 築20年・築30年のマンション
  • 築40年以上のマンション

築10年未満のマンション

築10年未満のマンションは建物の劣化が少ないため、約70〜80%と高めの評価をされるケースが多い傾向にあります。築年数が浅いと建物部分の減価償却が進んでいない点も、税額が高くなる理由の一つです。固定資産税と都市計画税を合わせた年間の税負担は、購入価格の約0.8〜1.2%です。

築年数が浅い物件でも、設備の老朽化や共用部分の維持状況によって、評価額が変動する場合があります。購入時期によっては、建物部分の税額が3年間半額になる「新築住宅に対する軽減措置」が適用されます。軽減措置は登記後1年以内の物件に限られるため、早めに申請しましょう。

築20年・築30年のマンション

築20年と築30年のマンションの固定資産税は、新築時と比べて大幅に減少します。築年数が経つと経年劣化により建物の評価額が下がるためです。築年数ごとの評価額と税額は、以下のとおりです。

築年数建物の評価額固定資産税の目安
築20年約20〜30%約60〜70%
築30年約10%約50〜60%

土地は、時間が経過しても評価額に大きな影響はないため、税額の変動は建物の評価額に左右されます。同じ築年数でも、立地条件や管理状態によって評価額や税額に差が生じる場合もあります。リノベーションで居住性が向上しても、税額評価には大きく影響しないことが一般的です。
» 築20年のマンションを購入する際のチェックポイント
» 後悔しない!築30年のマンションの選び方

築40年以上のマンション

築40年以上のマンションは、建物部分の固定資産税評価額が購入時の20%以下になる場合があります。築40年以上で固定資産税の評価額が下がる理由は、以下のとおりです。

  • 建物や設備の経年劣化
  • 減価償却による価値の減少
  • 原状回復の困難化

立地条件が良い物件では土地の評価額が高いため、固定資産税の総額も比較的高くなる場合があります。土地部分の評価額は築年数に関わらず変わらないためです。大規模修繕が行われているマンションは建物の状態が良好に保たれており、評価額が高くなるケースもあります。

中古マンションの固定資産税に関する注意点

中古マンションの固定資産税に関する注意点として以下を解説します。

  • 支払い方法
  • 固定資産税を滞納するリスク

支払い方法

固定資産税の支払い方法は複数あります。主な支払い方法は、以下のとおりです。

口座振替
自動引き落としで納め忘れを防止できる最も確実な方法です。
コンビニ納付
24時間対応で、納付書があればいつでも支払い可能です。
クレジットカード納付
ポイント還元が適用されますが、決済手数料が発生する場合があります。
スマホ決済アプリ
PayPayやLINE Payなどのスマホ決済アプリで支払いが可能です。

固定資産税の納付書を紛失してしまった場合は、各自治体の税務課で再発行ができます。税金の早期納付による割引制度を設けている自治体もあります。

固定資産税を滞納するリスク

固定資産税を滞納すると延滞金が発生し、本来の税額に加えて年利14.6%の利息が課されます。短期間の滞納であっても利息で金額が膨らみ、大きな負担になるので注意が必要です。催促状が届いてからも支払わない場合、市区町村が法的手続きにもとづき、以下の財産が差し押さえられる可能性があります。

  • 預貯金口座
  • 給与
  • 所有している不動産
  • 自動車などの資産

差し押さえられた財産は、公売にかけられて強制的に換金される場合もあります。固定資産税の滞納は、信用情報にも影響を及ぼします。将来的に別の物件の購入や、車のローンを検討する際の審査に支障をきたすため、注意が必要です。支払いが難しい状況になった場合は、早めに市区町村の税務課に相談しましょう。

中古マンションの固定資産税に関するよくある質問

中古マンションの固定資産税に関するよくある質問は、以下のとおりです。

  • 固定資産税がかからないケースは?
  • タワーマンションの固定資産税は高い?
  • 固定資産税と住民税の違いは?

固定資産税がかからないケースは?

固定資産税がかからないケースは、以下のとおりです。

  • 課税最低限度額未満の物件
  • 公共・公益目的の不動産
  • 地方公共団体や国所有の不動産
  • 災害被害を受けた不動産
  • 特区内の不動産
  • 土地区画整理事業中の仮換地

特例や減免措置は自動的に適用されるものと、申請が必要なものがあるため、購入前に確認しましょう。

タワーマンションの固定資産税は高い?

タワーマンションの固定資産税は、一般的なマンションと比較して高くなる傾向があります。タワーマンションは「階層別専有床面積補正」が適用されるためです。同じ間取りや広さでも階層が上がるほど評価額が高くなります。最上階のマンションの評価額は1階の約1.7倍になる場合もあります。

税額が3年間1/2に軽減される特例を利用すれば、初期の税負担の軽減が可能です。

固定資産税と住民税の違いは?

固定資産税は、土地や建物などの不動産を所有している人に課される税金です。住民税は所得に対して課され、働いて収入を得ている人が納める税金です。

2つの税金の違いは、以下のとおりです。

税目固定資産税住民税
課税対象土地・建物などの固定資産所得(給与・事業所得など)
税率・計算方法評価額×1.4%(原則)所得割(所得×税率)+均等割
納付先資産の所在地の自治体住民票のある自治体
納付期間年4回(4・7・12・3)年12回(正規雇用者の場合)
年1回(個人事業主の場合)

両方の税金に控除制度があり、固定資産税では住宅用地の特例が、住民税では各種所得控除や税額控除が適用されます。

まとめ

中古マンションの固定資産税は築年数や立地、管理状態によって物件の評価額に差があります。税額は購入後も毎年発生する支出であり、家計に大きな影響を与えます。中古マンションの購入を検討する際は事前に物件の固定資産評価額や税額を確認し、維持コストを見積もることが大切です。

物件の価格や間取りだけに注目せず、固定資産税の内容にも目を向け、無理なく住めるマンションを選びましょう。

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