住宅の購入において、分譲マンションは魅力的な選択肢の一つです。しかし、デメリットを理解しないまま購入すると後悔しかねません。本記事では、分譲マンションのデメリット・メリットや購入する際の注意点、選び方のポイントを解説します。
記事を読めば、分譲マンション購入の判断材料が得られ、自分に合った選択ができます。分譲マンションの購入を検討する際は、立地や資産価値、管理状況が重要なポイントです。初期費用や管理費などのコストも十分に検討しましょう。
分譲マンションのデメリット

分譲マンションのデメリットは、以下のとおりです。
- 高額な初期費用がかかる
- 毎月の管理費と修繕積立金がかかる
- 駐車場代が別途必要になる
- 気軽に引っ越しできない
- 住民同士でトラブルになる可能性がある
- リフォームやリノベーションに制限がある
高額な初期費用がかかる
分譲マンションを購入する際には、以下の初期費用が必要になります。
- 頭金
- 諸費用(登記費用や仲介手数料や税など)
- 家具や家電の購入費用(新しくする場合)
- 修繕積立一時金
各費用を合わせると、数百〜数千万円に達することもあります。新築物件は高額になる傾向にありますが、中古物件を選んでも、リノベーション費用がかかることがあるので注意が必要です。予期せぬ出費に備えて、数百万円程度は貯金しておきましょう。
分譲マンションの購入を検討する際は、自身の経済状況をよく考え、無理のない範囲で計画を立てることが大切です。
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毎月の管理費と修繕積立金がかかる
毎月の管理費と修繕積立金は、共用部分の維持管理や将来の大規模修繕のために使われる費用です。管理費はエレベーターや共用廊下などの清掃、電気代、設備の点検などに充てられます。修繕積立金は、外壁塗装や屋上防水工事などの大規模な修繕のために積み立てられるのが一般的です。
必要金額は物件によって異なりますが、合計で数万円程度かかります。築年数が経つにつれて修繕積立金が増額される可能性もあるので注意しましょう。管理費と修繕積立金の滞納は資産価値の低下につながります。毎月発生する固定費なので、住宅ローンの返済と合わせて計画的に支払わなくてはなりません。
将来の値上がりも考慮し、長期的に家計設計することが大切です。管理組合の運営状況や修繕計画もよく確認してください。
» マンションの修繕積立金の疑問を徹底解説!
駐車場代が別途必要になる

駐車場代は、分譲マンションを購入する際に見落としがちな追加費用です。多くの場合、駐車場は別契約となり、月額料金が発生します。一般的な駐車場代は月額1〜5万円程度で、立地や都市部かどうかによって変わってきます。駐車場代は管理費や修繕積立金とは別に支払う必要があるので、予算計画時に考慮しましょう。
車を所有していなくても、将来的な需要や来客時の利便性を考えると、駐車場の確保は重要です。確保する際は、空きがない可能性や機械式駐車場の使いづらさに注意しましょう。権利を購入できるマンションもありますが、高額になる傾向にあります。
駐車場代は長期的に発生する月々の固定費なので、マンション購入を検討する際は必ず確認してください。予算内で快適に暮らすには、追加費用も含めて総合的に判断することが大切です。
気軽に引っ越しできない
気軽に引っ越しできない理由は、以下のとおりです。
- 住宅ローンが残っている
- 売却や賃貸が難しい
- 売却損のリスクが大きい
- 引っ越しの手続きが難しい
分譲マンションは長期的な居住が前提なので、転勤や転職の可能性がある場合には向いていません。
住民同士でトラブルになる可能性がある

分譲マンションでは、多くの人が同じ建物内で生活するため、以下のトラブルが起こりやすくなっています。
- 生活音や騒音
- ゴミ出しルール
- 共用部分の使用・管理
- ペット飼育
トラブルを避けるには、管理規約の入念な確認と近隣住民とのコミュニケーションが大切です。トラブルが発生した際には、管理組合や管理会社を通じて適切に対応しましょう。
リフォームやリノベーションに制限がある
分譲マンションは建物の構造や他の住民への配慮から、自由に改修できない点が多くあります。特に共用部分の改修には管理組合の承認が必要です。専有部分でも、構造に影響する場合や設備の変更(給排水管など)、外観の変更(窓やベランダなど)には制限があります。音・振動を伴う場合だと、時間帯や曜日まで制限されます。
制限があるため、分譲マンションでリフォームやリノベーションを思い通りにするのは困難です。間取りの変更が難しかったり、エアコンの室外機設置場所に制限があったりする場合も多くあります。工事業者の出入りや資材の搬入出にも制限がかかることもあります。
ペット飼育に関連するリフォームが制限される場合もあるので注意が必要です。購入前に管理規約をよく確認し、将来的な改修の可能性も考慮に入れて検討しましょう。
ちなみに、私は中古マンション×リノベーションを実際にやりました。
リノベるでの中古マンション購入&リノベの全過程【総費用も写真も掲載】
分譲マンションのメリット

分譲マンションのメリットは、以下のとおりです。
- 自分の資産になる
- 立地の良い物件が多い
- セキュリティが充実している
- 共用施設・設備が充実している
- 防音性や断熱性が高い
- 高齢でも暮らしやすい
自分の資産になる
分譲マンションには、以下の資産的メリットがあります。
- 資産価値
- 自己資産の増加
- 将来的な収入源
- 相続財産
- 税制優遇
- ヘッジ効果
- レバレッジ効果
- 担保可能
長期的に見れば、家賃を払い続けるよりも経済的になる可能性が高くなります。リフォームやリノベーションをすれば、資産価値の維持・向上も可能です。分譲マンションの購入は単なる住まいの確保だけでなく、将来を見越した資産形成の手段にもなります。
立地の良い物件が多い
多くの分譲マンションは、都心や駅の近くに建てられています。公共交通機関が充実しており、通勤や通学に便利です。買い物や娯楽施設へのアクセスも良く、生活インフラも整備されているため、快適に暮らせます。仕事や家事で忙しい30代前後の夫婦にとっては、時間の節約につながります。
人気エリアでの物件取得が比較的容易なのも分譲マンションの特徴です。一戸建てに比べて、都心部や駅近くの物件が手に入れやすくなっています。立地の良さは、将来の資産価値にも影響する項目です。交通の利便性が高く、生活環境が整っている地域は、長期的に見ても資産価値が維持されやすい傾向にあります。
立地条件の良さを生かした住まい選びができるため、分譲マンションは忙しい日々を送る若い夫婦にとって魅力的な選択肢です。
セキュリティが充実している

多くのマンションでは、安全で安心な暮らしを提供するため、さまざまなセキュリティ対策が講じられています。一般的に導入されている設備やサービスは、以下のとおりです。
- オートロックシステム
- 24時間稼働の防犯カメラ
- 警備員や管理人による巡回
- エレベーター監視カメラ
- 各住戸インターホン
- 二重ロック
- 防犯センサー
- 十分な照明
- 宅配ボックスの設置
- 非常ボタン・非常通報システム
- ICカードによる出入り管理
セキュリティの充実さは、快適な暮らしを支える重要な要素の一つです。
共用施設・設備が充実している
多くの分譲マンションは、入居者の生活をより豊かにするため、さまざまな共用施設や設備を用意しています。一般的に見られる設備は、以下のとおりです。
- フィットネス施設(ジムやプール、サウナ)
- 共用スペース(屋上庭園や中庭)
- キッズルームや託児所
- パーティールームやラウンジ
- 図書室や学習スペース
- 宅配ボックス
- 共用駐輪場
- 共用洗車場
- バーベキューエリア
- ペット関連施設(ドッグランやトリミングルーム)
- 防災倉庫
- 非常用発電設備
共用施設は利便性の向上や趣味・余暇の充実だけでなく、健康維持や子育て支援、コミュニティ形成にも役立ちます。物件によって提供される施設や設備は異なるので、ライフスタイルに合った物件を選びましょう。
防音性や断熱性が高い

分譲マンションは断熱性が高く、年間を通じて快適に過ごしやすいのが特徴です。エアコンの効率が上がるので、光熱費の節約につながります。結露を防ぎ、カビやダニの発生も抑制できます。防音性も高く、隣室への音漏れを防止できるため、プライバシーを守れるのもメリットの一つです。
戸建て住宅と比べても、マンションの方が防音性や断熱性が高いため、快適な住環境を求める人には向いています。より高い効果を求めるなら、二重サッシや高性能な断熱材を使用しているマンションを選びましょう。
高齢でも暮らしやすい
分譲マンションでは、以下の設備やサービスが充実しています。
- バリアフリー設計
- エレベーター
- 24時間管理体制
- 宅配ボックス
- 防犯カメラ
- 警備員の巡回
- コンシェルジュサービス
高齢者の暮らしをサポートする環境が整っているため、日常生活の不便さや不安が軽減されます。商業施設や病院が近い点も、高齢者にとって安心です。コミュニティ活動が活発な物件も多く、孤立を防げます。将来が不安な人は、介護サービスと連携した物件を選びましょう。
デメリットを考慮した分譲マンションが向いている人の特徴

分譲マンションが向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 利便性やセキュリティを重視する人
- 長期的に安定した住まいを求める人
利便性やセキュリティを重視する人
分譲マンションの多くは、駅や都心が近く、スーパーや病院などの生活インフラが整っているのが特徴です。学校や公園の近さも考慮されており、子育てにも良い環境が整っています。防音性や断熱性が高く、周囲の騒音を気にせず過ごせるので、子育て世帯にも向いています。
オートロックや宅配ボックス、24時間管理体制などセキュリティ面も充実しており、安全に暮らせるのもメリットです。耐震性が高く、防災設備も整っています。
長期的に安定した住まいを求める人
分譲マンションは結婚を機に住宅購入を考えている人や、将来的な家族計画がある程度固まっている人に最適です。メリットには自分の資産になる点や、長期的な視点で住宅を選択できる点が挙げられます。地域コミュニティに根付けるほか、子育て環境や教育環境を重視できるのもメリットの一つです。
安定した収入があり、長期的な住宅ローンの返済が可能な人にも向いています。将来的な価値下落のリスクを許容でき、住宅の維持管理に対して責任を持てるなら検討する価値があります。
» 【年収別】マンション購入予算の目安と必要となる費用を解説!
デメリットを考慮した分譲マンションの選び方

分譲マンションを選ぶ際は、以下の点に着目しましょう。
- 立地条件と資産価値
- 新築と中古の違い
- 管理状況と管理規約
立地条件と資産価値
良い立地条件は、快適な生活と将来の資産価値の維持・向上につながります。立地条件の評価ポイントは、以下のとおりです。
- 駅からの距離
- 周辺施設
- 日当たり・眺望
- 治安
- 将来的な再開発計画の有無
- 地域の人口動態や経済成長性
- 物件の希少性
- 建物の築年数と耐震性能
- 開発業者や管理会社のブランド力
- 資産価値の推移
- 中古市場での需要
- 価格の妥当性
要素を総合的に判断し、ライフスタイルに合った物件を選ぶことが大切です。将来の資産価値だけでなく、実際に住むには快適かどうかも忘れずに検討しましょう。
新築と中古の違い

新築と中古マンションの違いを以下の表にまとめました。
項目 | 新築 | 中古 |
価格 | 高価 | 比較的安価 |
設備・内装 | 最新 | 古い |
保証 | 長期 | 短期または終了 |
資産価値 | 高い | 築年数により低下 |
管理状況 | 充実 | 不十分な可能性あり |
修繕積立金 | 少ない | 多い |
コミュニティ | 新規 | 既存 |
光熱費 | 低い | 高い |
新築と中古の特徴を理解し、長期的な視点で判断しましょう。
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管理状況と管理規約
適切な管理が行われているマンションは、快適な住環境と資産価値の維持につながります。管理規約は、ペット飼育や騒音、駐車場利用などのルールを精査することが重要です。改定履歴や居住者のルール遵守状況も確認しましょう。管理状況を確認する際は、以下の点に着目してください。
- 管理組合の運営状況
- 修繕積立金の積立状況
- 大規模修繕の実施履歴と今後の計画
- 管理費の使途と金額の妥当性
- 長期修繕計画の内容
- 管理会社の評判や実績
- 共用部分の清掃状況
- 設備メンテナンス状況
- 管理組合の総会議事録
- 役員選出方法
- 空室率や賃貸化率
- 滞納住戸の有無と対応状況
- 財務状況
管理状況や管理規約を十分に確認すれば、将来的なトラブルを防ぎつつ、安心して暮らせるマンションが選べます。
分譲マンションのデメリットに関するよくある質問

分譲マンション購入の際によくある質問を以下にまとめました。
- 購入時にかかる初期費用はどれくらい?
- 購入後のローン返済が難しくなったらどうする?
購入時にかかる初期費用はどれくらい?
分譲マンションを購入する際の初期費用は、物件価格の10〜20%程度が目安です。内訳は以下のとおりです。
- 頭金
- 不動産仲介手数料
- 登記費用
- 住宅ローン関連費用
- 火災保険料
- 固定資産税・都市計画税
- 管理費・修繕積立金
一般的に頭金は物件価格の5〜10%、不動産仲介手数料は物件価格の3〜3.6%が求められます。登記費用には、登録免許税と司法書士報酬が含まれます。住宅ローン関連費用は、主に保証料と事務手数料です。固定資産税・都市計画税は、年度の残りの月数分を支払う必要があります。
管理費・修繕積立金は1〜2か月分の前払いが一般的です。引っ越し費用や家具・家電の購入費用も考慮しましょう。初期費用の総額は物件価格や個々の状況により変わるため、事前に十分な資金計画を立てることが大切です。
購入後のローン返済が難しくなったらどうする?
ローン返済が厳しくなった場合は、早めに金融機関へ相談しましょう。柔軟な対応が受けられることもあります。主な対策は、返済計画の見直しや返済条件の変更(返済期間の延長や金利の見直しなど)です。繰り上げ返済や借り換えの検討などの方法もあります。
収入の増加や支出の見直し、生活費の削減も効果的です。対策を講じても状況が改善しない場合は、一時的な返済猶予を申請することも選択肢の一つです。住宅ローン減税や各種支援制度の活用も検討しましょう。ローン返済に困難を感じたら、早めに対策を講じることが大切です。
最悪の場合、物件の売却や法的手続き(個人再生や自己破産)が必要になります。
まとめ

分譲マンションには、経済的負担や住民トラブルの可能性、リフォームの制限などのデメリットがあります。一方で、資産性や立地の良さ、充実したセキュリティや設備などはメリットです。購入を検討する際は、ライフスタイルや将来の計画に合っているかを慎重に検討することが大切です。
立地条件や資産価値、管理状況などをよく確認し、新築と中古の違いも考慮して選びましょう。初期費用やローン返済計画についても十分な検討が必要です。分譲マンションのデメリットを理解したうえで、自分に合った物件を選べば、快適な暮らしを実現できます。
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